100歳を超え、ひとり暮らしをうららかに生きる女性を追ったドキュメンタリー映画「104歳、哲代さんのひとり暮らし」(山本和宏監督)が、4月18日から全国で順次公開される。「生きとるからこそできることがいっぱい」と、苦労も笑顔に変える石井哲代さん=広島県尾道市=の姿は、ご機嫌に年を重ねるための道しるべになりそうだ。
歩けなくても嘆かない
映画は、石井哲代さんの101歳から104歳までの2年余りの暮らしを見つめる。
台所に立ってみそ汁を作り、自宅の周りの雑草を取り、近所の人たちと楽しくおしゃべりをする。「さびない鍬(くわ)でありたい」が信条だ。何かしていないと人間もさびる。「自分でできることはする」と決めている。
使い込んだ真っ黒い包丁でネギを切りながら言う。「切れますでしょ? 人間もそうですよ。年をとったけダメいうんじゃなくて、年をとったいうても何かができりゃ」
できないことが増えてもプラス思考に転換する達人だ。足が痛くて歩けなくても嘆くことはない。「よう駆けりよった」と小学生のころの思い出を重ね、「100年、よう使うた足じゃけ」と慈しむ。坂道を転ばないように「バックオーライ」と言いながら後ろ向きに下りる。
1920年、広島県甲奴郡上下町(現在の府中市)で生まれた。尋常高等小学校、女子師範学校を経て20歳で小学校の教員に。26歳で同僚だった良英さんと結婚し、尾道市へ移った。地域の人たちが集う「仲よしクラブ」を53歳で立ち上げ、お寺の掃除にも精を出し、高齢者らの施設でボランティアをするなど地域のために尽力してきた。
- 「生きとったら草1本でも抜ける」ご機嫌104歳 映画になった思い
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